すとれいしーぷ





「明けましておめでとう〜!!」
「今年もよろしくー!!」
プレアデス城の新年は賑やかに幕を開けた。
といっても、前夜からの年越しイベントがそのまま新年を祝う宴になっただけだが。
大人達の大半は眠る間も惜しんで酒を酌み交わし、ごちそうを胃袋に収め、
歌い踊り、語り合っている。
子供達は大晦の夜に相当遅くまで起きていたにもかかわらず、
新年初日の起床時間は皆早かった。
戦いの中で新年を迎えることになったが、それでも皆の表情は喜びと希望に満ちている。

「クリス様、明けましておめでとうございます。」
「明けましておめでとう、トーマス殿。」
おそらくは、両者とも新年の挨拶回りの途中なのだろう。
クリスとトーマスは城の広場で、そのまま話し込む。
「今日は良い天気ですね。」
「そうだな。このまま気温が上がれば、雪も少しは解けるかもしれないな。」
「そうですね。ところで、クリス様は酒場の方にはもう行かれたのですか?」
「先程な・・・。全く、よくあそこまで酒が飲めると感心したよ。
・・・感心というより、少し呆れたがな。」
酒場はきっと凄惨な光景だったのだろう。溜息をつくクリスにトーマスは苦笑する。
「・・・ふふ、みんな嬉しいんでしょうね、新しい年を迎えることができて。」
「まぁ、確かにな。・・・しかし、先日も大騒ぎしたではないか、ええと確か・・・。」

その時。
突然、二人の間に割って入るように現れた白い物体。
一瞬にして、その白い物体はレストランへ続く階段を駆け下りていった。

「・・・い、今のは一体?」
「・・見たことのない生き物だ。後を追うぞ、トーマス殿!」
「えぇっ!? は、はいっ!!」
迅速に駆けて行ったクリスの後を、トーマスは慌ててついて行く。

銀の鎧を身に纏っていながら、白い物体を見失わずについて行っているクリス。
走るのは決して速くないが、クリスに遅れまいと必死のトーマス。
雪で足を滑らせないよう注意しながら階段を駆け下り、レストランを横切り、
二人はようやくレストランの裏手でその足を止めた。

「ク、クリス様・・・?」
息も絶え絶え、トーマスはようやくクリスに追いついた。
「あそこだ、トーマス殿。あの木の陰にいる。」
クリスの指差した方向には、確かに、木陰で小さく震えている白い物体の姿があった。
「静かに、近づいていこう。トーマス殿、剣は持っているな?」
「え、あ、はいっ。」
剣の柄に手をかけて、白い物体にゆっくり歩み寄る両者。
新年早々、城にモンスターの侵入を許してしまったのか。
焦りと悔恨が二人の心をよぎる。
すると・・・。



「・・・・・クゥゥゥ・・・」



その鳴き声は紛れもなく・・・。
「コ、・・・コロク!?」
「な、な・・・何!?」
その時、呆気にとられる二人の前に、コロクがゆっくりと姿を現した。
しかしその姿は・・・いつものコロクではなかった。
茶色くてふさふさの毛は見る影もなく、真っ白な綿で全身覆われていた。
そして、耳のあたりには、紙で作ったと思われる角がテープで貼り付けられていた。
当然風呂敷など、あるはずない。
コロクは怯えている。小刻みに震えたままだ。
「コ、コロク・・・その姿は一体・・・?」
変わり果てた姿のコロクを、何とか元に戻そうとするトーマス。
「・・・・・・・・・・羊・・・・・?」
ぽつりと呟いたのはクリスであった。


その後、シャロン・キッド・ベルの三名が、会議室で大人達にこっぴどく叱られた、らしい?



End


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