allegro vivace
「わーっ!すごいすごい!!雪が積もったわ!!」
朝食もそこそこに、コートを着込んだセレナが外に飛び出していく。
「あいつ・・・そんなに雪が珍しいのか・・・?」
「マルセスブルクって、確か年中暖かいって、セレナが言っていたような気がするな・・・。」
「全く・・・セレナ殿は元気ですな。私には、この寒さが身にこたえるというのに・・・。」
食堂に取り残された男3人、思い思いに外を眺め、呟いた。
外はまだ雪が降っている。
庭に積もった雪を、ミトンを填めた両手で掬い上げ、空に向かって放り上げる。
柔らかなそれは、空中でキラキラと淡い光を放ち、地上に舞い降りる。
その様子をうっとりと眺めていたセレナはふと周囲を見渡し、何を思ったかブーツで思い切り、
雪で覆われた大地を踏みしめ始めた。
「おーい、セレナ。」
マフラー忘れてるぞ、とネイティオが防寒具に身を包んでセレナの後を追う。
「あ・・・ありがとう、ネイティオ。」
セレナはマフラーを受け取って、さっと首に巻く。
「何やってたんだ?」
「庭に足跡を付けているの。まだ、誰もこの庭には足を踏み入れていないんだってわかったら、
何となく自分の足跡でいっぱいにしたくなったのよ。」
イタズラを親に指摘された子供のように、バツが悪そうに肩を竦める。
「よーし・・・それじゃいっちょ俺も足跡付けるかな。」
「あーずるい、ネイティオ!私の足跡をいっぱい残すんだから!」
「おっ、そんじゃ俺も負けてられないな。うりゃうりゃ!」
「負けないもんね!えい、えいっ!!」
2人は互いに負けじと、庭一面に己の足跡を残していく。
「・・・何やってるんだ・・・あいつら・・・。」
「・・・ま、まあ・・・楽しそうなのだから良いのではないでしょうか・・・?」
呆れたように庭を見やるレオと、寒さに打ち震えているゴリガンを余所に、
ネイティオとセレナは小さな子供のように雪遊びに没頭した。
その後、2人の遊びが雪合戦に発展したのは言うまでもない・・・。
Fine