仮初めの縁
長い長い時を経て、再び巡り会えたパートナー。
しかし・・・・・彼の瞳に、自分は映っていなかった。
「アルベール。」
呼びかけても、彼は答えてはくれない。
「アルベール。」
何とかこっちを向いてもらうよう、アルベールの上着の袖を掴んでみるが。
心、ここにあらず。
彼の目には、自分も、この部屋の壁さえも映っていないのだろうか?
「アルベール・・・遊びましょう・・・?」
手に持っていたおもちゃを差し出すが、受け取ってくれることは無かった。
何度、こうやって呼びかけただろう?
・・・こんな関係が、本当のパートナーなの・・・?
ちりちり、と、胸の奥が痛んだ。
『ねえ、遊びましょう?』
『少し、待っていてくれるかしら?この作業が終わったら、一緒に遊びましょう。』
『・・・うん・・・。待ってる。』
遠い昔、かつての自分のパートナーだった女性との会話が頭をよぎる。
短い間だったけれど、彼女と過ごした日々を決して忘れたことは無い。
石版に封じられてから、気の遠くなる時間を過ごした。
まるで、暗く狭い部屋に独りぼっちで閉じこめられたようだった。
声を出すことも、身動きも、ましてや魔界に帰ることさえ出来なかった。
石版から解放された時、世界はがらりと変わっていた。
自分達はもう過去の存在で、既に次の『魔界の王を決める争い』が繰り広げられていた。
周りには、見知った顔が幾つか。
かつて戦った相手も、そこにはいた。
しかし、今の自分たちには、もはや自由は無かった。
ロードと呼ばれる魔物の言うがままに、行動しなくてはならなかった。
ロードによって、自分を含む魔物の子達に、新たなパートナーが与えられた。
しかし、パートナーとは名ばかりで、昔自分と共に戦ってくれた女性のように
笑いかけてくれることが無ければ、言葉を交わすことさえ無い。
ただ魔本を読むだけの、存在。
こんなの・・・本当のパートナーじゃ、ない。
「アルベール・・・。」
絞り出すような、かすれた声が、部屋に響く
涙が零れそうなのは、悲しいから?
それとも、自分の意志を失ってしまったアルベールが可哀想だから?
「お願いよ、アルベール・・・。」
アルベールの腕にすがりついて、ただ祈るように言葉を紡ぐ。
私の目を見て。
一緒にお話しして。
一緒に遊んで。
目を、・・・覚まして。
END