きよしこのよる その後





「あ、もうこんな時間なんだ・・・。」
酒場でのクリスマスパーティーを抜け出し、自室へ戻ったトーマスは、
時計の針が既に2時を回っているのに驚いた。
「でも、みんなすごいなぁ。まだ宴会の続きやっているんだから。
・・・でも、お酒が好きな人って、みんなああなのかな・・・?」
驚きと少しだけ羨望の混ざった呟き。
自分はまだ未成年だけど、大人になってもきっとあんな風にお酒を飲むことは
無いだろうな、と思う。

ふと、ジャケットのポケットに入った包みのことを思い出す。
ポケットから取り出し、じっと見つめる。
「・・・・・結局、渡せなかったな・・・。」
未だ宴会が続いている中ではとても渡せそうになかった。
まして人前で渡すことなど、恥ずかしくてどう考えてもできなかった。
「・・・朝になってから渡しても、良いよね・・・。」
自分で納得させるように、呟く。
「・・・ふぁ、そろそろ休もうかな・・・。」
軽く伸びをし、包みを机の上に置いて、ジャケットを脱ごうとしたその時。


コンコン。


控えめなノックの音。


「・・・?は、はい、今開けます。」

そっと開けた扉から、赤いリボンで飾られた緑色の包みが顔を出す。
「・・・???」
どうして良いかわからず、ただじっと包みを見つめるトーマスだったが。
「こんばんは、サンタクロースです。」
聞き慣れた声。その声色は普段聞く声より戯けた調子ではあるが。
「・・・相当酔っていますね、パーシヴァルさん。」
声の主に笑いかけ、部屋に通す。

「ささやかですが、サンタクロースからの贈り物です。」
未だ自分をサンタクロースと言い張るパーシヴァルは、確かに酔っていた。
「え・・・良いんですか?いただいても??」
自分はパーシヴァルへのプレゼントを用意していたが、自分がもらえることは
全く考えていなかったトーマス。
プレゼントとパーシヴァルの顔を交互に見て、訊ねる。
「もちろんです。城主殿のために用意したのですから。受け取っていただけますね?」
「は、はい、ありがとうございます。
あ、あの、実は僕も、サンタさんに贈り物があるんです。」
そう言って机に載っている包みをパーシヴァルに手渡す。
「ありがとうございます、城主殿。今ここで開けてもよろしいですか?」
「はい、どうぞ。たいしたものではありませんけど・・・。
あ、そうだ、今お茶を淹れますから、座っててください。」
そう言って離れようとしたトーマスだったが、不意にパーシヴァルに抱きしめられた。
「えっと・・・あの、あの。本当に、・・・酔ってますね。」
パーシヴァルの腕の中で、真っ赤になっておろおろするトーマス。
突然のことで固まってしまった両手は、ただ虚しく空気を掴んでいる。
「はい、確かに酔っていますよ。」
一方、先程までの戯けた口調とはうって変わり、
いつもの穏やかな話し方に戻っているパーシヴァル。
壊れ物を扱うように、ゆっくりと、優しくトーマスの髪を撫でる。
その心地よさに、空を掴んでいたトーマスの両手は、おずおずとパーシヴァルの背中にまわる。
「実はもう一つ贈り物があるのですが、受け取っていただけますか?」
耳許で囁かれる言葉に更に頬を染め、消え入るような声で答える。
それが、彼のせいいっぱい。
「・・・・・・・はい。」





聖なる夜は、全ての人に幸せが訪れますように・・・。



END


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