思い出の場所で(ミスフル)
「早いものっすね・・・あれからもう、1年経ったなんて。」
「・・・そうだな・・・。」
「苦しかったけど、辛かったけど、それでも・・・ここで野球が出来たってことが、
ボク達にとってはかけがえのない思い出っすよ。」
「そうだな・・・とりあえず、ここにいるあいつ等も、ここで戦った奴らも、同じ思いなんだろう。」
「きっと、・・・そうっすよ。」
一塁・三塁アルプススタンドでは、応援団が熱い声援を送っている。
両校の応援合戦が、早くもヒートアップしている。
「十二支高校、今年は残念だったっすね。」
「ああ・・・。」
「でも、来年は・・・きっと。」
「そうだな、来年こそは・・・。」
マウンドに立つエースピッチャー。
自軍ベンチ前で入念にバットを振る先頭バッター。
両者の激突が、間もなく始まる。
「・・・犬飼くん?」
「・・・何だ?」
「また、来年も・・・決勝戦、見に来たいっす。」
「ああ、また一緒に見に来よう。」
「はい。」
試合開始のサイレンが鳴り響く。
全国高校球児の頂点を目指して、激しい戦いを勝ち抜いた2校による
最後の戦いが繰り広げられようとしている。
全国高校球児の憧れの聖域であり、多くの選手の汗と血と涙を見守ってきた、
ここ、甲子園球場で。
End