聖地プロムスデルへ向かう旅の途中。
空を仰ぐと、満月が神々しく輝いている。
残念ながら日暮れ前までに次の街へたどり着けなかったため、
昨日に引き続き森の木陰で野宿をする事となった。
森の野生動物や盗賊などが現れることを警戒し、4人(?)で旅を始めた時に、
野宿の際は交替で見張りをする事に決めたのだが、
今となっては見張り番はレオとルミナスの2人のみとなってしまった。
それというのも・・・。
セレナは焚き火の前で堂々と爆睡するという王女らしからぬ剛胆さを見せ、
見張りには全く役に立たないという事が判明した。
一方のゴリガンは、普段は年寄り扱いすると猛烈に抗議するくせに、
「老人に徹夜など罰当たりな・・・。」などと零して見張り役をやろうとしない。
仕方なく、レオとルミナスが一日交替で見張りをする事となった・・・。
「それじゃあ、みんな、おやすみっ!」
「私も先に休ませてもらいますぞ。」
セレナとゴリガンはいそいそと、月明かりを避けるように木陰へ移動し、寝袋に潜り込んだ。
程なく、健やかな寝息が聞こえ始めてきた。
こっ、こいつら・・・。
たまには「申し訳ない」とか、「今日は見張り代わろうか?」とか、思わないのか・・・?
レオはがっくりと肩を落とし、焚き火に薪をくべる。
「・・・レオ、私が見張りをやるから、今日は休んで。」
唯一人、ルミナスだけは寝袋に入ろうとしない。
焚き火の炎に照らされ、深緋の髪が燃えるような紅に見える。
「いや・・・今日ルミナスはセプターと戦ったんだ。疲れているだろう?」
「そう言うレオだって・・・昨日も見張り番、やってくれたじゃない。
疲れているのはレオだって一緒でしょう?」
「だ、だがしかし・・・。」
「見張りは交替って、約束でしょう?」
言い淀むレオを、ぴしゃりと撥ね付ける。
確かに最初はそういう約束だったが、既にセレナとゴリガンはリタイアしている。
それに、世界を破滅から救うという崇高な目的を背負っているルミナスには、
あまり負担をかけたくないという思いが、レオにはあった。
少しでも、ルミナスの役に立ちたいと。
だから、せめて野宿の見張りくらいは自分がしなくては・・・。そう考えていた。
しかし、当のルミナスは約束事を破りたくないのか、あくまでも自分が見張りをすると言って譲らない。
「ルミナス・・・。」
「大丈夫。今日は月が綺麗だから退屈しないし。それに・・・・・。」
はにかむような笑顔を見せ、ルミナスは1枚のカードを取り出した。
「この子についていてもらうから。」
カードから召還されたのは、地の神の使いとも呼ばれているクリーチャー、コアティ。
コアティはルミナスの足下に寄り添い、嬉しそうに頬をすり寄せる。
ルミナスは、このクリーチャーの背を慈しむように優しく撫でた。
「ね、だからレオは休んで?」
ここまでされてしまっては、さすがにレオも退くしかない。
「・・・すまない・・・。」
「気にしないで。だから・・・次の野宿の時はお願いね。」
そう言って柔らかく微笑む。
喜びという感情が欠落しているかのように、これまでは滅多に笑う事が無かったルミナスだったが、
最近は少しずつ笑顔を見せるようになってきた。
優しい笑顔に見惚れていたレオが、はっと我に返り、慌てて寝袋に潜り込んだ。
頬に宿る熱は、焚き火の炎のせいではない。
心臓の音が急に早く鳴り出したのは、気のせいだろうか・・・?
「お休みなさい、レオ。」
「ああ、お休み・・・。」
そうは言ったものの心臓は依然としてばくばく鳴って、とても眠れそうになかった。
「・・・・・なあ、ルミナス・・・?」
「・・・どうしたの?」
「・・・少しだけ、話し相手になってくれないか?
そ、その・・・すぐには寝付けそうにないから・・・。」
「・・・・・・うん・・・。」
結局、2人は空が白むまで語り合った・・・。
End
タイトルは、
5titles様からお借りしました。