トロイメライ(ローゼン:&雛苺)





「・・・あら?雛苺ちゃんは?」

テーブルを飾るのは、色とりどりの甘いお菓子。
焼きたてのクッキー・いちご大福に数種類のショートケーキ。
淹れたての紅茶も、既にそれぞれの席に用意されている。

「あれ?おかしいですねー?
さっきまでその辺でうにゅーうにゅー言っていたですのに。」
椅子に腰を下ろそうとした翠星石がきょろきょろと見渡すが、
ピンクのリボンと柔らかそうなブロンドは見あたらない。
「全く・・・あの子は、この真紅の下僕としての自覚が足りないのだわ。」
溜め息混じりの言葉と共に、真紅が優雅な仕草で椅子に座る。
「あ、ジュンく〜ん、雛苺ちゃん探してきてくれる?」
一口チョコレート・マシュマロを皿に盛りながら、ダイニングルームに姿を現したジュンを見るなり、
のりは申し訳なさそうに声をかける。
「あ?何だよ。お前が捜しに行けばいいじゃないか・・・・・。」
「ごめんねぇ〜。お姉ちゃん手が離せなくって。」
「・・・・・。」
渋々、ジュンはリビングへ足を向ける。
「ったく、どこ行ったんだあの苺・・・・・?」
ぶつくさと文句が口をついて出るが、ソファーに目指す人を見つけ、慌てて口を噤む。
「・・・・・・こんなすぐ近くにいるじゃないか・・・・・?」
ソファーで眠る雛苺が目を覚まさないよう、声を落とす。
小さな身体を丸めてすやすやと眠る姿は、普通の子供そのもので。
笑みを湛えた表情から、幸せな夢を見ているのだろうと想像できる。
「・・・おーい苺、おやつ食べちゃうぞ?」
そう言いつつも、穏やかな眠りを妨げないように注意を払う。

「ジュンくーん、雛苺ちゃんは・・・?」
「・・・しーっ!」
「・・・あらあらv」

心地良い眠りの世界に身を委ねる雛苺。
「まーったく、ちびちびの大好きなおやつの時間だというですのに、
呑気に眠っていやがるですぅ。」
「本当に・・・呆れたものだわ。」
翠星石・真紅は好き勝手なことを言っているが、それでも雛苺も見守る瞳は優しさに溢れている。
「まあまあ、いいじゃないの。
雛苺ちゃんの分は残しておいてあげましょ?」
「・・・そうだな。この様子じゃ当分起きないだろうからな。
案外、夢の中で苺大福に囲まれて笑ってるんじゃないのか?」
「うふふ、そうかもね。」
ジュンの言葉に笑みを零すのりは、寝室から持ってきたタオルケットをそっと雛苺に掛ける。
「さあみんな、おやつの時間にしましょう。」
「はいですぅ。」
「紅茶が冷めちゃったじゃないの。のり、淹れ直してね。」
「解ったわ真紅ちゃん。」

雛苺の眠りを妨げないよう、そっとその場を離れる。
残されたのは、幸せそうに微笑む小さなドール。


お休みなさい、良い夢を。



End


タイトルは 「実験的お題の箱庭。」 様からお借りしました。


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